2026 年5 月7 日
健保法等改正案は参議院において慎重かつ徹底的に審議し、
「一部保険外療養」創設部分の削除を求めます
青森県保険医協会
会長 津川 信彦
4 月28 日、「健康保険法等の一部を改正する法律案」が衆議院本会議において可決され、参議院に送付されました。
本法案に盛り込まれた「一部保険外療養」の創設は、OTC 類似薬に係る給付見直しにとどまらず、将来的に公的医療保険の給付範囲そのものを縮小し得る制度改変につながる重大な問題を含んでいます。これは、国民皆保険制度の根幹に関わる極めて重要な論点であり、拙速に進めるべきではありません。
今回の改正案における「一部保険外療養」は、その対象範囲や患者負担割合について、将来的な拡大の余地を残す内容となっています。しかも、その具体的内容については、法律ではなく告示によって定め得る仕組みが含まれており、国会審議を経ずに給付範囲が変更される懸念も否定できません。
こうした懸念は、すでに現実の政策動向にも見られます。6 月の診療報酬改定では、大臣の告示事項である長期収載品の負担割合は4 分の1 から2 分の1 へ引き上げられます。また、昨年末の財務・厚労大臣の「大臣折衝事項」には、今後、対象範囲や負担割合を拡大していくことが明記されています。さらに、4 月28 日の財政制度等審議会 財政制度分科会では、医療事務の経費も一部保険外療養にするよう提案しています。
衆議院での審議においても、この制度の範囲や運用の在り方について十分な説明が尽くされたとは言い難く、多くの疑問点が残されたまま可決に至りました。国民皆保険制度に重大な影響を及ぼし得る制度改正である以上、参議院においては、制度趣旨、対象範囲、国民負担への影響、医療提供体制への影響等について、慎重かつ徹底的な審議が不可欠です。
また、保険料負担の軽減が強調される一方で、受診時の自己負担増加によって、結果として患者負担が増加するおそれがあります。とりわけ、高齢者、慢性疾患患者、子育て世帯、低所得者層にとっては、受診抑制につながるおそれがあり、国民の健康格差を拡大させかねません。
私たちは、必要な医療が経済的事情によって制限されることのない社会を守らなければなりません。そのためにも、健保法等改正案については、参議院において十分な審議を尽くし、「一部保険外療養」創設部分を削除するよう強く求めます。
国民皆保険制度を将来にわたり堅持し、誰もが安心して必要な医療を受けられる社会保障制度を守ることを、あらためて強く訴えます。
